同じ営業でも、住む場所で月にこれだけ違う
賃金の数字は職種区分ごとの平均で、個々の求人の提示額ではありません。それでも、都道府県ごとの平均を並べると営業という仕事の性格がよく見えてきます。以下はすべて月額の平均で、単位は千円です(2023年の調査)。
| 職種区分 | 全国平均 | いちばん高い県 | いちばん低い県 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 金融営業職業従事者 | 400.0千円 | 東京都 503.5千円 | 鳥取県 272.4千円 | 231.1千円 |
| 機械器具・通信・システム営業(自動車を除く) | 400.0千円 | 兵庫県 462.2千円 | 青森県 283.0千円 | 179.2千円 |
| 保険営業職業従事者 | 337.8千円 | 愛知県 461.5千円 | 福島県 252.9千円 | 208.6千円 |
| 自動車営業職業従事者 | 360.3千円 | 千葉県 417.9千円 | 青森県 253.8千円 | 164.1千円 |
| その他の営業職業従事者 | 386.2千円 | 東京都 410.4千円 | 鳥取県 281.0千円 | 129.4千円 |
| 販売店員 | 267.0千円 | 東京都 295.3千円 | 徳島県 207.7千円 | 87.6千円 |
地域差が大きい営業、小さい販売
いちばん目を引くのは、最上位県と最下位県の開きが職種区分によってまるで違うことです。
金融営業は231.1千円、保険営業は208.6千円もの開きがあります。一方、店頭で接客する[販売店員](/wage/w1321.html)は87.6千円。営業の半分以下です。
理由は扱う商品にあります。店頭販売は買いに来た人に売るので、単価も客数も地域の人口や物価に引きずられ、上下ともに動きにくい。対して営業は、法人相手なら1件あたりの金額が大きく、その大口顧客がどこにいるかで平均が動きます。金融営業の東京都503.5千円は、本社機能と資金が一点に集まった結果と読めます。
「東京がいちばん」とは限らない
ただし、営業だからといって首都圏が常に上位というわけではありません。
- 保険営業の首位は愛知県461.5千円で、東京都447.1千円を上回る
- 機械器具・通信・システム営業の首位は兵庫県462.2千円、2位は大分県441.6千円
- [自動車営業職業従事者](/wage/w1344.html)の首位は千葉県417.9千円、次いで神奈川県412.2千円
- 金融営業の3位は高知県436.4千円
製造業の集積地や、車が生活必需品になっている地域では、そこにある産業が営業の単価を押し上げます。[自動車営業](/job/jidoushaeigyou.html)が千葉県・神奈川県・大阪府で高いのは、販売台数が見込める市場の厚みがそのまま出ているとみるのが自然でしょう。
賞与まで含めると差はさらに開く
月額だけを見ていると、営業職のもう一つの特徴を見落とします。年間賞与です。
| 職種区分 | 月額(全国平均) | 年間賞与(全国平均) |
|---|---|---|
| 金融営業職業従事者 | 400.0千円 | 1565.9千円 |
| 機械器具・通信・システム営業(自動車を除く) | 400.0千円 | 1404.3千円 |
| その他の営業職業従事者 | 386.2千円 | 1160.1千円 |
| 自動車営業職業従事者 | 360.3千円 | 1011.3千円 |
| 保険営業職業従事者 | 337.8千円 | 638.8千円 |
| 販売店員 | 267.0千円 | 405.6千円 |
金融営業の年間賞与1565.9千円は、月額の約4か月分に相当します。販売店員の405.6千円と比べると4倍近い。月額の差が1.5倍でも、年収ベースではもっと開くということです。
同じ営業でも保険営業の賞与は638.8千円と、金融営業の半分以下にとどまります。成果給の比率や賞与の設計が業界ごとに違うためで、「営業=賞与が厚い」と一括りにはできません。
引っ越す前に確かめたいこと
地域差の数字は魅力的ですが、そのまま手取りの差にはなりません。
高い県の平均は、その県に大口の顧客や本社機能があることの反映です。同じ県内でも都市部と郊外では担当エリアの条件が変わりますし、住居費や通勤時間も一緒に動きます。[商社営業](/job/shoushaeigyou.html)のように全国・海外を相手にする仕事なら、勤務地の県はそもそも顧客の所在地と一致しません。
判断材料にするなら、次の順で見るのが現実的です。
1. その職種区分の全国平均を基準線にする
2. 検討している県が全国平均の上か下かを確認する
3. 月額だけでなく年間賞与も足して年単位で比べる
4. 実際の求人条件は平均から離れうると織り込む
数字が示していること
営業職の県ごとの差は、販売職の2倍以上に達する場合があります。差が大きいのは、営業の給料が「その地域にどんな顧客がいるか」に強く結びついているからです。
裏を返せば、上位県に近い条件は産業の集積によって作られており、県名そのものが理由ではありません。移動を考えるなら、県の平均額よりも「その県で自分が担当することになる顧客層」を見るほうが確かです。
(金額はすべて2023年調査の職種区分ごとの平均、単位は千円です)
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)